学会発表
日本版「自傷・自殺未遂レジストリ」構築と救命救急センターでの実施に向けた展望
抄録本文
先行研究より、自傷・自殺未遂の経験は、自殺の最大のリスクファクターであることは明らかである。臨床救急医学会は、自殺未遂者の多くが救急医療機関に搬送されている現状を受け、平成19年に「自殺企図者のケアに関する検討委員会」を立ち上げ、自殺対策・自殺未遂者支援に尽力してきた。
WHOは、自傷・自殺未遂に関する調査システムの整備を呼びかけており、海外ではすでにいくつかの国と地域で大規模なレジストリシステムが整備され、自殺対策に関する政策にタイムリーに活用されている。これまで我が国においても特定の地域や施設間で連携した実態調査や、症例登録が試みられてきたが、全国的に統一された継続的な調査の仕組みはいまだ確立されていない。
筆者らは令和3年度より、同委員会内に「自殺企図者のレジストリ構築ワーキンググループ」を組織し、WHOの示す案や自殺統計原票を参考に有識者を交えて調査項目を検討し、自傷・自殺未遂レジストリの開発を行った。約30項目の基本的項目を設定し、10箇所の救命救急センターにおける試験運用を開始した。
将来的なナショナルレジストリー化を目指して、令和4年度は全国の救命救急センターおいて実施を目指している。
演者名
小林 諭史 1)2)3)
隅 浩紀 3)
秋枝 一基 2)
山下 智幸 4)
三宅 康史 5)
所属機関名
1)厚生労働大臣指定調査研究等法人・一般社団法人 いのち支える自殺対策推進センター
2)SUBARU健康保険組合太田記念病院 救急科
3)帝京大学大学院公衆衛生学研究科
4)日本赤十字社医療センター 救急科
5)帝京大学医学部救急医学講座
発表資料
学会発表