QA
-
1-1. 自傷・自殺未遂レジストリとはどのようなものですか。
特定の疾患、疾患群、治療等の医用情報の収集を目的として構築されるデータベースである「患者レジストリ」のひとつで、自傷・自殺未遂により医療機関に搬送された患者についてのデータベースです。「レジストリプラットフォームREACH」というシステムを使用し、一般社団法人日本臨床救急医学会と厚生労働大臣指定法人・一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターが共同で運用しています。
-
1-2. 医療機関に搬送される自傷・自殺未遂者のうち、どの範囲の者のデータが収集されるのですか。
現時点では、三次救急の指定を受けている全国の救命救急センター約50カ所に搬送された自傷・自殺未遂者に関するデータが収集されることになっています。将来的には全国約300カ所の救命救急センターのデータを収集することを目指しています。
-
1-3. どのようなデータが収集されるのですか。
「施設情報」「基本情報」「医療情報」「既往に関する情報」「社会経済状況」のそれぞれについて、いくつかの調査項目に関するデータを収集します。「医療情報」「既往に関する情報」には身体科領域の情報だけでなく、精神科領域の情報も含まれます。詳細は、JA-RSA.netホームページを参照してください。
-
1-4. データの収集方法について教えて下さい。
調査項目のデータは,救命救急センターで治療のために収集される情報をそのまま利用し、レジストリ登録のみのために新たなデータを収集することはしません。治療の過程でカルテその他の資料に記載されたデータについてはそれを転記し,救急隊員その他の関係者から収集したデータについてはそれを登録します。治療の過程で治療の必要上患者本人から直接聴取した情報をそのまま利用する場合もあります。
-
1-5. 調査項目はどのようにして決定されたのですか。
調査項目はWHOが刊行しているPractice manual for establishing and maintaining surveillance systems for suicide attempts and self-harm に示された主要および付加項目に加えて、我が国の自殺の特徴や状況に基づく独自項目が含まれますが、日本臨床救急医学会のワーキンググループでの議論、各種専門家からの意見聴取等を経て決定されました。
-
1-6. 登録されるデータに個人情報は含まれますか。
登録項目にはそれ自体で個人を識別できる個人情報は含まれていません。個々の患者には、登録時に一意的なIDが付され、匿名化されます。
-
2-1. レジストリへの患者データの登録に参加するにはどうすればよいですか。
レジストリへの患者データの登録に参加を希望する医療機関は「救急医療機関における自傷・自殺未遂レジストリを用いた臨床研究」(研究代表者 三宅康史)に共同研究機関として参加することになります。JA-RSA.netホームページより申請に必要な書式をダウンロードし、レジストリ事務局にメールまたは郵送でご提出ください。
-
2-2. 自傷・自殺未遂レジストリに参加できる資格を教えて下さい。
現時点では、三次救急の指定を受けている全国約300カ所の救命救急センターのみを対象にしていますが将来的には解析等を担当する研究協力機関の参加も検討しています。
-
2-3. 当施設は、救命救急センターとしてはERのみで、病床を有していませんが、参加できますか。
高度救命救急センター、地域救命救急センターを含む全ての救命救急センターが参加可能です。
-
2-4. 自傷・自殺未遂レジストリに参加するメリットを教えて下さい。
研究に共同研究機関として参加するメリットは、全国的な自傷・自殺未遂レジストリのデータに基づいて自傷・自殺未遂者の特性を明らかにし、先進的な研究を行ったり、そうしたデータを具体的な施策に活用できる点です。また、将来、本レジストリに参加していることが、各種教育機関としての要件となったり、救命救急センターとしての評価の指標に含まれる可能性があり、その場合、医療機関の運営面でもメリットがあります。
-
2-5. 参加の申請後の手続を教えて下さい。
上記研究(2-1参照)は、多機関共同研究であり、倫理審査については、いのち支える自殺対策推進センターの研究倫理審査委員会が一括で行います(2022年10月審査予定)。参加の申請を行った機関は、倫理審査で承認を受けた後、自機関の長に研究の実施の許可を受けたうえで、レジストリへの患者データの登録を開始することになります。
-
2-6. 個別に自施設での倫理審査も必要ですか。
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(令和3年3月23日制定 令和4年3月10日一部改正)では、多機関共同研究について、原則として一の倫理審査委員会による一括審査を求めることとなっており、個別の研究機関における倫理審査は不要です。しかしながら、それぞれの機関の倫理審査規程の定めに基づく個別の倫理審査が禁止されている訳ではありません。詳細はレジストリ事務局にお問い合わせください。
-
2-7. 年度の途中からでも参加できますか。
いのち支える自殺対策推進センターの研究倫理審査委員会では、今後も定期的に上記研究に追加で参加する共同研究機関について倫理審査を実施する予定です。年度の途中での参加を希望する機関については、申請後直近の委員会で審査しますので、年度途中でも申請書類をご提出ください。
-
2-8. 共同研究機関ではなく、データだけを提供する研究協力機関として参加することはできますか。
現時点では、共同研究機関としての参加のみを認めており、研究協力機関としての参加は受け付けていません。なお、共同研究機関として参加しても、実際に研究を行うかどうかは、当該機関の研究責任者の判断に任せられています。
-
2-9. レジストリに参加する要件として、研究責任者が倫理教育を受けている必要があるようですが、当施設には倫理教育の仕組みがありません。どうすれば良いですか。
倫理教育・研修の制度が整備されていない施設・機関の研究者の方には、以下のいずれかの研修の受講を勧めています。
-
3-1. データの登録方法について教えて下さい。
各施設の入力担当者が事前に付与されたIDとパスワードを利用してREACHにアクセスし,登録を行います。パソコン以外の端末でも入力は可能です。
-
3-2. 医師以外の者が登録してもいいですか。
レジストリへのデータの登録については、多職種での取り組み・連携が望ましく、登録を担当する職種に制限はありません。
-
3-3. レジストリ入力項目19~22について、これらはどのように入力したら良いでしょうか。
情報登録を行う際に、同じ入力項目が左右に並んでおりますが、救命救急センターのスタッフが聴取した情報については左側の項目に入力し、診療科別のカルテ記載等からリエゾンチームあるいは精神科医、心療内科医が聴取した情報が区別できる時は別途右側の項目も入力してください。
-
3-4. 患者は、登録を拒むことはできるのですか。その場合の説明はどうすればいいですか。
患者が自己のデータの登録を拒んだ場合は、データの登録はしないこととし、既に登録したデータはレジストリシステムから抹消することとします。治療で収集したデータを本レジストリに登録すること、患者が希望しない場合には登録をせず、一旦登録したデータを抹消することについての説明文、掲示などは各施設でご用意下さい。なお、一般的な内容を記載したひな形を研究計画書に別紙として添付していますので参考にしてください。
-
3-5. 患者の搬送を受けてからどのくらいの期間内に登録する必要がありますか。
概ね初診から1ヶ月以内の登録をお願いしています。初期診療後、時間を開けずに概要を登録し、転帰が決まり次第1ヶ月以内に登録する二段階登録の方法を推奨しています。
-
3-6. 個々の患者が匿名化されて登録されるのであれば、実際の患者との対照はどうするのですか。
個々の施設では、登録した患者に付されたIDと当該患者を連結できる対照表を作成して保存していただきます。この対照表は当該施設だけが利用できることとし、他の者が閲覧使用することはできません。
-
3-7. 対照表の作成は必須ですか。
対照表がなければ、一旦レジストリにデータを登録した患者から情報の削除の申出がなされた場合に対応できませんので、対照表は必ず作成して保管してください。
-
3-8. データの入力方法についての研修などはありますか。
入力方法等を説明したレジストラー向けの教育動画を用意する予定です。
-
3-9.患者の親族などから、登録の抹消を求められたとき、どのように対応すべきですか。
死亡症例については、死亡者の4親等内の親族からの申し出により一旦登録した情報を抹消し、未成年者や障害等により意思決定が十分にできない方については、原則として、親権者や成年後見人等の法定代理人からの申し出により同様の対応をすることとなっています。本人以外の申出の場合、それぞれの医療機関の責任において、当該申出人の本人確認と、当該申出人と対象者との関係を確認していただく必要があります。この確認のための資料は一般的に使用される身分証明書(運転免許証等)や戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)などが考えられますが、必ずしもそれだけに限られるわけではありません。
-
3-10.データの登録を一旦中断し、入力作業を再開して「保存」を試みたところ、「記録保存失敗」とポップアップが表示され、データが保存されません。
入力中にセッション時間(120分)が切れてしまうとログアウトしてしまいますので再ログインが必要です。「記録保存失敗」というポップアップが表示された場合は、以下の手順に従ってください。
1)「再ログイン」タブをクリック(別ウインドウが開きます)
2)ログイン後この「記録保存失敗」ポップアップ画面に戻り、「閉じる」タブをクリックしてください。
3)新たにログインした画面で再度「保存」してください
-
4-1. レジストリに登録されたデータについては、どのように利用できますか。
共同研究機関については、研究目的であれば、原則として登録された全てのデータが利用できます。
-
4-2. 研究目的以外のデータ利用は認められないのですか。
自機関が登録したデータ以外のデータについては、原則として、研究目的ではない単なるデータの閲覧などは認められません。自機関が登録したデータについては、いつでも閲覧できますし、研究目的ではない利用も自由です。不明な点については、レジストリ事務局までお問い合わせください。
-
4-3. レジストリに患者データを登録している医療機関以外でもデータは利用できますか。
現時点ではデータの利用ができるのはレジストリへの患者データの登録を行っている共同研究機関のみです。それ以外の研究協力機関等によるデータの利用については今後検討する予定です。
-
5-1. 自傷・自殺未遂レジストリについて質問がある場合、どこへ連絡すればいいですか。
問い合わせよりレジストリ事務局にご相談ください。